Inside CHANELに描かれたマドモアゼル

ふだんはあまり動画を見ない私なのですが、ひとつだけ例外があります。それは、You Tubeの”Inside CHANEL”。目下CHAPTER1″CHANEL No5″に始まる、シャネルについての46話の動画がアップされていますが、これからまだまだ増えそうな気配です。

私のお気に入りは、マドモアゼル シャネル自身に関する3つのストーリー。
CHAPTER5″Coco”、CHAPTER6″Mademoiselle”、CHAPTER7″Gabrielle Chanel”です。これらは「孤児院育ちの少女が、いかにして世界的なデザイナーなったか」を、時代を追って、目と耳で感じさせてくれる動画。まず「耳」に効くのが、語り手の女性の淡々とした口調です。声のトーンといい話しかたといい、まさに「カッコよさ」と「冷静沈着さ」のダブルクール!始まりのフレーズ”Once upon a time”が心に残ります。そして「目」に効くのは、イマっぽいビジュアル。20世紀のモノクローム写真を素材に、ポートレートを切り抜いて動かしたり、点線や矢印を効果的に挿入したり。まるで斬新なアニメーションを見るような楽しさです。

CHAPTER3″Chanel and the diamond”は、1932年に発表されたシャネル初のダイヤモンド ジュエリー コレクションにまつわるストーリーです。あまりにも有名な香水やスーツに隠れていますが、じつはシャネルは、自身の名でダイヤモンド ジュエリーを発表した初めてのクチュリエなのです。現在のシャネル ファイン ジュエリーは、この延長線上にあります。このように一話ずつを見ていくと、これまで知らなかったマドモアゼル シャネルの人となりとクリエイションの関係が、パッと目前に開けるように感じます。

どのストーリーも、一話ずつの最後に、画面いっぱいにクレジットが並びます。編集に携わる身としては、莫大なクレジット見るたびに、”Inside CHANEL”を創ったスタッフの並々ならぬ苦労に思いをはせて、頭の下がる思いです。

成瀬浩子

WRITER : Hiroko Naruse

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