知られざるパールネックレスに出会える展覧会

昨年10月にAssuline社から出版された”THE PEARL NECKLACE”をご存じでしょうか。この本は、パールネックレスとそれをまとう女性の美しさをテーマに、歴史やアート、ファッションなどさまざまな角度からその魅力を楽しめる、ビジュアルブックです。この本の出版を記念する展覧会が、8月28日までミキモト銀座4丁目本店で開かれています。


この展覧会開催にあたって、ミキモトでは1920年代に初めてパールのネックレスを発売して以来のデザインを一同に集め、そこから代表的な100のスタイルを選び抜いたそうです。そうして生まれた”MIKIMOTO The 100 Necklaces”には、ネックレスひとつひとつに、それが100分のいくつに当たるのかを示すナンバーがふられています。私は展示されている実物を確認するのが精一杯でしたが、それ以外のネックレスをデジタルで見ることもできるそうです。

この展覧会の目玉のひとつが、マリリン・モンローが来日時に買い求め、愛用したネックレス。セピアがかったような色味のアコヤ真珠に、新品にはない色香が漂っています。このネックレスは、1950年代当時、最高の品質を持った一本であったはず。そこにマリリンの愛情が加わることで、パールネックレスに永遠の命が吹き込まれ、時を超える存在になったのだろう、と感じました。

会場に展示されているハイジュエリーのパールネックレスには、アコヤ真珠に加えて、さまざまな種類の南洋真珠やコンク真珠も使われています。それらすべてが、決してひと括りにできない、個性的な佇まいを競い合っているかのよう、、、マリリンのネックレスのような、クオリティの高い真珠を用いたベーシックなデザインのイメージが強いミキモトですが、ハイジュエリーの最新形ともいうべき、軽やかでモダンな表情が印象に残りました。そこに集約された技術にも、なみなみならぬ情熱が込められているように感じました。

もうひとつ、知る人ぞ知る見どころがあります。この本には、さまざまな年代や国の、パールネックレスを着けた女性のポートレートが並んでいるのですが、じつはその中に、新しく撮りおろされた写真も入っているのです。そのうちの1枚に、KCI名誉キュレーターの深井晃子さんが登場しています。それは、東京都近代美術館のモダンな背景に呼応するかのような1枚。パールネックレスの「今」を語るカットが、国や時間を超えて集まった写真の中で、いちばん輝いているように感じました。

新装なったミキモト銀座4丁目本店を訪れたら、正面向って左手の階段を2階へ上ってみてください。1階から2階にかけての壁一面に、桜でおおわれた幻想の世界が広がっています。

THE PEARL NECKLACE

〜8月28日(月) 11:00〜19:00  ミキモト銀座4丁目本店 7階ミキモトホール  入場無料

成瀬浩子

WRITER : Hiroko Naruse

BACK