クリスチャンヌ・ペロションの器

イタリア・トスカーナ在住の陶芸家、クリスチャンヌ・ペロション。じつは私は彼女の器のファンのひとりで、10年くらい前に取材でトスカーナのアトリエを訪ねたことがあります。今月のあたまに、個展のため来日した彼女に会いに行きました。場所は銀座東急プラザにあるフランジュール。ここでの展示会を皮切りに、各地でクリスチャンヌの個展が開催されました。

今年の新作が揃った店内は、そこだけひと足早く、豊かな秋の実りに恵まれたかのよう。クリスチャンヌの器ならではの、手作業による独特のフォルムと、それを彩るカラーが溢れています。
そういえばトスカーナのアトリエを訪れた時、「この器の色は、トスカーナの自然に触発されて生まれたものに違いない!」と感じました。アトリエに併設した自宅のテラスに座っていると、刻々と移り変わる空の色が見てとれます。周囲に咲き乱れる草花の色、風にそよぐ木々の色、朝靄の色、星空の色、太陽の光をを浴びた小麦畑の色、なだらかな草原が描く陰影、、、トスカーナの自然の色彩のひろがりは、尽きることがありません。
「だからと言って、それらの色をそのまま器にのせてるわけじゃないのよ」とクリスチャンヌ。
「たしかに私は、いつも自然の中にいて、とても身近に感じています。そしてその中で感銘を受けたことが、自分の中にどんどん堆積しているんです。それがあるとき、ひとつのイメージとなって、器というかたちになって現れるのだと思います」と、クリエイションについて語ってくれました。これは常に釉薬の研究に取り組み、独自の配合や火の入れ方によって唯一無二の色合いを実現してきた、クリスチャンヌらしい言葉だと思います。

彼女の器の色について、もうひとつ私が感じていることがあります。それは、日本に通じるようなニュアンスある色調。もしかしたら、トスカーナと日本の自然に共通点があるからかしら、、、と勝手に解釈しているのですが、まだ本人に尋ねたことはありません。その妄想をふくらませて、彼女のボウルを日本的な?背景で撮影してみました。なんとぴったり!(自画自賛、笑)

クリスチャンヌの器は磁器で、ストーンウェアとシェルの2種類があります。繊細で優美なシェルが女性に人気だそうですが、私はトスカーナの大地そのもののようなストーンウェアの味わいも好きです。クリスチャンヌの「器は使ってこそ」とのモットーにならって、私もストーンウェアのシックなピンクのボウルでお抹茶をいただいてます。彼女のお宅では、食卓にさまざまな色や形の自作の器が並びます。庭から摘んできたばかりの野菜を使ったお料理との、素敵なカラーコーディネート!それに憧れながらも、日常使いの食器を白と藍に統一している私にとっては、色彩革命はまだまだ先のことになりそうです。

Christiane Perrochon     atelier di ceramica :  www.christianeperrochon.com/

成瀬浩子

WRITER : Hiroko Naruse

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