「大人の女が美しい」とは

先日本屋さんで懐かしいタイトルを見かけて、おもわず手にとりました。それはセツ・モードセミナー創始者の長沢 節 先生が、1981年に発表されたエッセイ集の文庫本です。発表された当時、まだまだガキ(笑)だった私は、「大人の女だけが美しい、というのは極論なのでは?」と少々不満に感じたりしていました。たしか当時の本をまだ持っているはずなのですが、見当たらないので、文庫本を手に入れて読み返してみることにしました。
読み始めてすぐに気づいたのが、長沢先生の「私はこう思う」という毅然とした態度です。空気を読むなんて、とんでもない!こういうはっきりした物言いは、最近お目にかかれません。そして何よりもすごいと思うのは、自分の考えを明快に述べても、共感を強要しないこと。著者の意見を知った後で、どうするかは読者個人が決めればいいのです。これは「個人」を尊ぶ、長沢先生らしい流儀のように感じます。本当の意味での個人主義とは、ただ好き放題にふるまうことではなく、自分とは異なる意見を理解することによって、自分らしさを自覚し見直すことではないでしょうか。この考え方はおしゃれにも、生きかたにも通じます。粋なセンスを身につける上で、長沢先生の流儀は欠かせないポイントだと思います。

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さてここで私は、長沢先生の流儀にのっとって、ジュエリーのおしゃれについて考えてみようと思います。写真は「美しい大人の女」ロミー・シュナイダー。こんな女性がジュエリーをつけるとしたら?ロミーのこのコーディネートは、もちろんジュエリーがなくても成立する装いなのですが、大人の女性だからこそ、さりげなく着けてもいいのではないでしょうか。そんな時に活躍するのが、手前味噌ではなく「Last Dance」のジュエリーではないかと思っています。

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このネックレス、じつは私が「いつか似合うようになったら、身につけたい」と思っていたものです。なぜ過去形なのかといいますと、このネックレスが先日の展示会で、もっと似合う方のところへお嫁入りしたからです。その方は、スタイリストの北村道子さん。写真を拝見したところ、白いシャツにさらりとつけたネックレスのおしゃれなこと!私はまだまだだな、、、と実感したのです(^_^;)そして心の中で、「大人の女だからこそ美しい」とつぶやいてみました。

成瀬浩子

WRITER : Hiroko Naruse

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