甲府のアルチザン

Last Danceを始める一番のきっかけになったのは、山梨県甲府市のアルチザン(職人)の仕事に出会ったことでした。

2014年11月、ちょっとしたきっかけから、山梨県県庁の産業振興課が行っている産地見学バスツアーに参加しました。

主に石を加工する工房を訪れて見学するものでした。7軒ほど見せていただいて感じたことがありました。

みんな良い顔をしている、と言うことでした。6、70代で意欲的に励んでいる人もいれば、2代目、3代目として受け継いで仕事をしている工房の若者もいます。先輩や、お祖父さんお父さんの姿を見ながら育ち、甲府の地で頑張っている彼らの顔には、誇りがにじみ出ていました。

機械化やパソコンによる仕事の普及でジュエリー製作の現場も効率化され、働く人の負担が軽減されています。しかし、石を磨く最終の仕上げやカットの精緻度は人の手で行われることによって初めてその素晴らしさや美しさが保たれています。石を扱う技術と共に受け継がれてきた彫金の仕事にも、やはり人の手で仕上げることでしか生まれない人後に落ちない技術がありました。それをそのツアーで目の当たりにしました。

研磨

後日、一つの工房を訪ねて出会ったのが、昔の職人さんの仕事として残っていた、ヤットコ割りの水晶でした。成形前の仕事として、人の手でヤットコを使って割ってできた小さな水晶。ひとつとして同じ形がありません。割られた凸凹の面によって透明感や光の反射も違います。それがとても素敵でした。昔の職人さんの仕事にやられました。(現在この技術は機械に取って代わりました。)

これを生かしたシンプルなジュエリーを作りたいと思いました。

手からしか生まれない仕事。

甲府のアルチザンによってその仕事が黙々と続けられています。

WRITER : Chigako Takeda

PREV

BACK